尿管結石とは、腎臓と膀胱をつなぐ尿の通り道である「尿管」に結石が生じ、強い痛みなどの症状が現れることをいいます。
腎臓・尿管・膀胱・尿道に結石が生じる「尿路結石」の中、腎臓・尿管では「上部尿路結石」、膀胱・尿道では「下部尿路結石」といいます。
尿管結石は腎臓内で結石が生じ、それが尿管に移動してくることで生じます。
結石は尿中でシュウ酸Ca・リン酸Ca・尿酸などが飽和状態になり、結石の前段階である「結晶」が生じることで発生します。
結晶はごく小さいですが、その表面にシュウ酸・リン酸・カルシウムが付着すると、徐々に大きくなり固まることで結石が形成されます。
結石が生じる過程には体質・代謝異常・内分泌疾患・生活習慣など、さまざまな要因が関係していると考えられます。
たとえば腎臓から尿管・膀胱・尿道までの「尿路」に変形などがあると、尿が停滞しやすくなるため結石ができやすくなるといわれています。
そのほか高カルシウム尿症・高シュウ酸尿症のような代謝異常、アルカリ尿、痛風・高尿酸血症でも結石ができやすいといわれています。
さらに食生活が影響しており、特に肉や糖質の過剰摂取・カルシウム不足・お酒の飲みすぎなどが関与していると考えられます。
結石が小さい場合には、無症状のこともあります。
しかし腎臓で発生した結石が尿管へ移動し、尿の通り道を塞いで、腰・背中・脇腹・下腹部などに激しい痛みが生じます。
この「疝痛発作」は朝方や就寝中に起こりやすく、2~3時間続く痛みとともに吐き気・嘔吐を伴うこともあります。
そのほか、結石が尿管の粘膜と擦れることにより、血尿が生じることもあります。
結石が尿管から膀胱へ落ちていく過程で疝痛発作はなくなりますが、かわりに下腹部の痛みや頻尿・残尿感が現れることがあります。
そして結石が完全に膀胱に落ちると、これらの症状も消失することが一般的です。
小さい結石の場合には、まず自然に排出させるよう、飲水や運動などの生活指導のみのこともあります。
例えば水分を1日に2L程度摂取して尿量を増やしたり、適度な運動により結石の移動を促したりします。
ただアルコールや刺激物を摂ると、痛みが生じやすくなるため、結石が排出されるまでは控えるほうが望ましいでしょう。
結石が大きく排出がみられない場合には、結石を砕いて摘出するなどの治療も検討されます。
尿管結石は、一度結石が排出された後も高確率で再発するといわれています。
そのため再発予防として、水分をよく取る・肥満を予防する・食生活を見直すことが大切です。
また必要に応じて薬物療法による再発予防が検討されるため、定期的に通院し・健康管理に努めるようにしましょう。
食生活の注意点として、「早食い」・「大食い」は避ける、葉野菜・たけのこ・紅茶などシュウ酸を多く含む食品の取り過ぎに注意する。
またビールなどプリン体を多く含む食品や食塩の過剰摂取を控える一方、カルシウムを適度に取ることが大切です。