「尿毒症」とは、腎機能の著しい低下により老廃物・毒素が蓄積し、全身に障害が生じる腎障害が進行した状態をいいます。
これは、正常の10分の1程度まで著しく低下している末期腎不全の状態で、治療しなければ生命にかかわる恐れもあります。
はじめは、疲労感・倦怠感・むくみ・咳・呼吸困難・胸に水がたまる尿毒症性肺などの症状が現れます。
また、食欲低下・嘔気・頭痛・睡眠障害・知覚異常・けいれん・血圧上昇・骨量低下などもみられます。
さらに腎臓能が低下すると、造血ホルモンの不足や赤血球の寿命の低下により、腎性貧血が生じることもあります。
それは、腎臓には水分や電解質の調節、血圧の調整をする酵素や赤血球を作るよう骨髄に働きかける機能などがあるからです。
末期腎不全になると、失われた腎臓の働きを代替するために、透析治療か腎移植が必要となります。
腎移植を受ければ、健康な人に近い生活ができますが、腎臓の提供者は多くありません。
そのため日本では透析治療が圧倒的に多く、透析治療の患者は30万人を超えています。
透析治療には血液透析と腹膜透析の2つがあり、日本ではほとんどの場合血液透析が行われています。
血液透析室と呼ばれる施設で、まず腕の血管から血液を出し、老廃物や余分な水分を取り除き血液をきれいにします。
そして、きれいになった血液を体に戻します。
血液透析にかかる時間は1回につきおよそ4時間。これを、週3回程度の頻度で行います。
腹膜透析ではお腹にカテーテルを挿入し、腹膜という薄い膜でできた袋に透析液を入れます。
すると、老廃物や余分な水分・イオンが、体の中から透析液に移動していきます。
この老廃物を含んだ透析液を体の外に取り出すことで血液をきれいにします。
尿毒症は、腎不全を基礎疾患として発症する病気です。
そのため、腎臓のはたらきを落とさないように、日常生活から注意することが大切です。
適度な運動や体重コントロール・減塩・禁煙などを心がけ、降圧・血糖降下・高脂血症薬などの併用も検討することが大切です。