変形性膝関節症は、膝軟骨がすり減り慢性炎症や変形が生じ、膝に痛みが現れる病気です。
女性に多く、加齢・肥満・外傷などが発症に関与しているようです。
変形性膝関節症の発症を防ぐには、何よりも体重を増やしすぎないことが重要です。
さらに膝周囲の筋力をしっかりと保持すると、膝への負担を軽減させるためには有効です。
しかし病状が進行すると歩行が困難になることもあり、手術も検討されます。
膝関節とは、大腿骨と脛骨の継ぎ目にある関節で、歩くときに重要な役割を果たします。
膝の前方には膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨があり、膝関節はこの3つの骨から構成されます。
これらの骨同士が互いに直接接触すると、大きな摩擦により骨の摩耗につながります。
膝関節内の骨の表面を覆う軟骨は、この摩擦を防ぎ、関節の動きを助けています。
さらに大腿骨と脛骨の関節面の間には半月板があり、主にクッションの役割を果たします。
この半月板は、アワビの刺身のような硬さで、コラーゲン繊維からできています。
膝を曲げ伸ばしすると半月板が動き、そのおかげでスムーズに膝を曲げることできます。
加齢・肥満・膝への外傷などが主な原因となります。
日本人はO脚の人が多く、膝の内側に負担がかかります。
半月板も徐々に質が変化して、少しのストレスで切れてしまうこともあります。
半月板が切れるとクッションの役目を果たせず、軟骨が減ってゆく原因にもなります。
膝の痛みは、加齢や体重によって徐々に進行します。
過度な体重増加は軟骨損傷を進行させる大きな危険因子といえます。
症状としては、膝を動かしたときに生じる膝の痛みがあります。
特に、歩行時の最初の数歩や椅子から立ち上がるときに痛むことが多いです。
病気が進行すると痛みは強くなる傾向にあります。
痛みが生じると関節の可動域も狭くなり、日常生活に大きな影響を及ぼします。
変形性膝関節症では炎症反応が生じ、膝に水がたまる(関節水腫)こともあります。
関節水腫は、膝の曲げ伸ばしにも影響します。
残念ながら変形性膝関節症で発症した軟骨や半月板の損傷は、完全には元に戻せません。
そのため、治療は大きく以下3つのアプローチになります。
まず痛み止めの内服・ヒアルロン酸の関節内注入など、痛みに対しての対症療法があります。
これにに筋力保持のためのトレーニングやリハビリテーション、適切な装具を利用するといったアプローチも重要です。
次に、残された膝関節の機能を最大限活用させるため、「関節鏡による手術」や「膝周囲骨切り術」があります。
「関節鏡」とは、膝の周囲に小さな傷をつけて内視鏡を膝に入れ、膝の内部をきれいにする手術です。
これは、膝の内部の掃除と半月板の修復を目的としています。
また「膝周囲骨切り術」は、膝の上または下で骨の形を矯正することで膝の一部に偏ったストレスを改善しようとするものです。
変形性膝関節症はO脚があることで症状が増悪しやすいので、骨を矯正することで膝周囲の骨の荷重を調整します。
最後に、「人工関節に置き換える手術」があります。
これは合併症や置換後の日常生活への影響があるため、病気がかなり進行している人に対して実施されます。
さらに膝関節はなくなってしまう手術であるため、実施には十分な検討が必要でしょう。