バセドウ病とは、甲状腺のはたらきが異常に活発になることで、甲状腺ホルモンが過剰に産生される病気のことです。
身体症状として、動悸・体重減少・筋力低下・手の震え・暑がり・過剰な発汗・軟便・下痢・女性で生理が止まるといった症状が現れます。
精神的症状としては、イライラ感・不眠・落ち着きの無さ・疲労感などが見られます。
これらバセドウ病の症状は、甲状腺ホルモン、カテコールアミンの過剰分泌によるものです。
甲状腺ホルモンは全身の臓器に作用し新陳代謝を促進し、カテコールアミンは交感神経を活性化する働きがあります。
また喉仏のすぐ下にある甲状腺が過度に刺激されるため、大きく腫れることによって、喉の違和感が生じます。
バセドウ病の典型的な症状として知られる眼球突出は、目を動かす筋肉や脂肪の炎症による腫れが原因で起こります。
眼球突出が悪化することで、まぶたや結膜の充血、目の動きの異常、ドライアイなどが発生します。
また男性によく見られる症状として周期性四肢麻痺があり、炭水化物の過剰摂取や運動後に手足が突然動かなくなる発作が起こります。
さらに適切な治療がされないと、心臓への過度な負担により不整脈や心不全、骨の代謝が活発になることで骨折などのリスクが高まります。
そのため、早期の適切な治療が大切です。
バセドウ病の治療には、薬物(抗甲状腺薬)治療、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つの治療法があります。
このうち薬物療法は抗甲状腺薬の内服により、甲状腺ホルモンの合成・分泌を減らすことを目的とします。
服薬期間は通常2年間程度となりますが、内服薬の服薬終了後に再発してしまう場合が多く見られます。
2年以上の薬物療法で薬を中止できない状態が続く場合は、他の治療法を検討します。
薬物療法の利点は、薬の内服だけという利便性にありますので、治療の第一選択となります。
欠点は、約0.5%の方に無顆粒球症が発症することです。
無顆粒球症は、白血球がほとんど無くなるため、重大な細菌感染のリスクがあります。
また、約3%の方で肝機能障害や蕁麻疹を生じます。
そのため内服開始後約2か月間は、2週間に1回の血液検査が必要となります。
バセドウ病の原因となるTSH受容体抗体の産生メカニズムは不明ですので、確立した予防法はまだありません。
また強いストレスにより悪化や再発する場合があるため、ストレスを避け、規則正しい生活をすることが大切です。
さらに喫煙により薬の効果が低下したり、目の症状が悪化したりする場合がありますので、禁煙をこころがけましょう。