良性発作性頭位めまいとは、特定の頭位をとることによってめまいが誘発される疾患です。
このめまいは長時間続くことはなく、1分から数分で完全におさまります。
また聞こえが悪くなったり、耳鳴りが起こることもありません。
この良性発作性頭位めまいは、めまいが起こる原因としてもっとも多いといわれています。
内耳に存在する「三半規管」と「耳石器」という器官は、平衡感覚に重要な役割を果たしています。
「耳石」とは耳の奥にある重力を感知する耳石器という場所にある、小さな砂粒のようなカルシウム結晶です。
この耳石が外傷など何らかの理由で剥がれ落ち、それが三半規管に入り込み刺激することでめまいが起きます。
明確な原因は不明ですが、加齢や女性ホルモン低下で耳石がはがれやすくなると考えられています。
さらに外傷や長期の寝たきりも、発症の原因となります。
良性発作性頭位めまいでは、特定の頭位を取ることで、めまいが誘発されます。
例えば、起床時にくらくらする・寝返りを打ったときにめまいが生じる・頭を上げるとめまいがするなどです。
吐き気を伴うことも少なくありません。
難聴や耳鳴りなどを伴わないことが、メニエール病などほかの内耳疾患と異なります。
そのため、発熱・手足の麻痺・感覚障害・視力低下・意識障害を伴うこともありません。
良性発作性頭位めまいは自然軽快することも多いですが、耳石置換法(めまい体操)という理学療法が有効です。
耳石置換法は、半規管に入った耳石を半規管の外に導きだし、元の耳石器に戻し治癒させる方法です。
耳石置換法を行うと治癒が早まります。
また吐き気などの症状が強いときには、症状緩和を目的として抗めまい薬・制吐剤などの薬物治療を行います。