腎盂腎炎は、腎臓で作られた尿が最初に尿路へ出てくる場所(腎盂・腎杯)に、細菌感染が生ずる疾患です。
特に尿道が短い女性に起こりやすい病気です。
尿道から細菌が侵入し膀胱で汚染された感染尿が尿管を逆流して発症する、上行性感染が腎盂腎炎の多くです。
膀胱炎を同時に合併している事が少なくありません。
症状としては38℃以上の発熱・寒気・頻尿・背部痛を起こし、小児や老人では脱水による意識障害など重篤も多くみられます。
また腎臓は血流が豊富なため、細菌があっという間に血液中に侵入し、「菌血症」という状態になることが少なからずあります。
こうなると入院となってしまうこともあります。
腎盂腎炎を併発する場合には、下記の要因があります。
性行為・性周期
尿路通過障害…結石・腫瘍・前立腺肥大など
尿道カテーテル留置
妊娠
免疫力低下…糖尿病・ステロイド治療・抗がん剤治療など
通常は発症時のみに抗菌薬が使用されますが、乳幼児の繰り返す腎盂腎炎には予防的に長く投与されることもあります。
そのほか、痛みに対して鎮痛剤が使用されることもあります。
また敗血症などの重篤な合併症が生じた場合には、全身管理を含めた集中治療が行われます。
慢性腎盂腎炎の場合は長期の抗菌薬療法が基本となり、人工透析や腎移植が必要となります。