母指CM関節症とは、親指の付け根の関節(CM関節)に生じる変形性関節症です。
親指を酷使するような動作や年齢を重ねることで、CM関節を構成する骨と骨の間にある関節軟骨が摩耗することで発症します。
関節の酷使・加齢などが関節軟骨がすり減る原因として挙げられますが、はっきりしないことも少なくありません。
また、閉経後の女性の発症頻度が高いことが分かっており、女性ホルモンの減少が発症に関与しているという説もあります。
発症すると、瓶の蓋を開ける・物をつまむなど、親指に力が入る動作をすると親指の付け根に痛みが走るようになります。
軽症な場合は、鎮痛剤・テーピング・親指をできるだけ使わずに安静にしていれば自然と治ります。
しかし進行すると安静にしていても痛みが生じ、関節が腫れる・変形するなどの症状が現れるようになります。
さらに進行するとCM関節が亜脱臼を引き起こし、親指が外側に開きにくくなります。
また親指の付け根が手のひら側に入り込み、親指が外側に向かって伸びる「白鳥の首」と呼ばれる変形が生じることもあります。
母指CM関節症の治療は、痛みを和らげるための鎮痛剤や湿布などを利用した対症療法が基本です。
多くは、対症療法を行って関節を安静に保てば自然に改善していきます。
しかし、痛みが頻繁に起こる場合は関節を動かしにくくする装具の装着やテーピングなどを行う必要があります。
また、炎症を鎮めるステロイドを関節の内部に注入する「関節内注射」が必要になることもあります。
それでも十分な効果がない場合や親指が変形している場合には、関節を固定したり骨の一部を切除する手術が必要となります。
母指CM関節症は、親指を捻ったり、親指に力を入れたりするような動作を繰り返すことも発症原因の1つです。
そのため、この病気の発症を予防するには家事や仕事などで親指を酷使する動作を減らす必要があります。
特に閉経後の女性は発症率が高いため、注意が必要です。