本態性血小板血症は、赤血球・白血球・血小板といった「造血幹細胞」に異常が生じて血小板が過剰に増殖する病気です。
いわゆる悪性の「がん」ではありませんが、骨髄増殖性腫瘍のひとつとされています。
発症率は10万人に2.5人と報告されており、60歳代と30歳代が発症しやすいとされています。
まれな病気であり、発症しても自覚症状がないことがほとんどです。
しかし病気が進行して血小板数が過剰になると、血栓ができやすくなったり、出血が止まりにくくなることもあります。
筋力の低下・頭痛・めまい・耳鳴り・視覚の異常や目の痛み・手足末端の痛みなどを引き起こすこともあります。
また胎盤の血管が詰まることで、自然流産を繰り返したりするケースもみられます。
さらに大きな血栓ができると、脳梗塞・心筋梗塞・肺塞栓症など命に関わる重篤な合併症を引き起こすこともあります。
一方、血小板数が増えすぎると、出血を止めるのに必要な物質を吸着し、かえって出血が起こりやすくなります。
出血の程度は鼻血・青あざ、さらに重症な場合には消化管出血・脳出血などを引き起こすこともあります。
現在のところ、本態性血小板血症を根本的に治す方法はありません。
治療は、血栓の形成を抑制するための薬物療法が主体となります。
具体的には、アスピリンなど血栓の形成を予防する効果のある抗血小板薬の内服治療が行われます。
抗がん剤などを用いて骨髄のはたらきを抑制することによって、血小板数を減らす「細胞減少療法」が行われることもあります。
血小板になる前段階の巨核球に作用して、血小板産生を抑制する効果を持つ薬が広く用いられるようになっています。