悪性症候群とは、抗精神病薬などにより発現する副作用のことです。
最悪の場合亡くなることもあるため、発症の際には迅速な対応が必要となります。
原因薬の服用開始から数日経過や服用量変更の際などに発症することが多く、ときに40℃を超える高熱がみられます。
また手足の震え・こわばり・発汗・過呼吸・話しづらいと感じたりすることがあります。
悪性症候群は、一部の抗精神病薬やパーキンソン病治療薬などを原因として発症します。
これらの薬剤は脳に働きかけ、ドパミンなどの脳内情報伝達に関わる物質量を調整します。
しかし薬剤の影響で情報伝達物質のバランスに異常を来すことがあり、悪性症候群が引き起こされると考えられています。
また脱水症状・疲労・感染症などがみられる状況では、発症リスクが高まると考えられています。
さらに家族に悪性症候群を発症した方がいる場合も、発症する可能性があります。
悪性症候群では、さまざまな臓器障害を合併することもあります。
横紋筋融解症…多くの筋肉がダメージを受け高熱や筋肉のこわばり、腎機能障害や電解質異常なども引き起こされます。
播種性血管内凝固症候群(DIC)…血液凝固反応が全身の血管内で無秩序に起こり,全身で臓器障害が進行します。
誤嚥性肺炎…食べ物などが誤って気管に入ることで発症し、咳・呼吸困難がみられます。
悪性症候群では、まず原因薬の服用を中止し、重症度に応じた対応が行われます。
体温を下げるために冷却が行われたり、脱水を補正するために輸液療法が行われたりします。
また横紋筋融解症・筋強直・高体温の場合には、ダントロレンと呼ばれる薬物を投与することも検討されます。