大動脈解離とは、大動脈と呼ばれる血管の隙間に血液が流れ込み、縦方向に剥がれるように裂ける(解離する)病気です。
大動脈にかかるストレスと大動脈の壁の強さのバランスが崩れることにより、発生すると考えられています。
大動脈にかかるストレスがもっとも大きくなる原因は高血圧であり、発症者の3人に2人は既往歴があるようです。
また交通事故などによる胸部の強打なども、大動脈への強いストレスの原因となることがあります。
さらに加齢によって大動脈の壁が脆弱化する傾向にあるため、高齢者に大動脈解離を発症するケースも少なくありません。
大動脈解離は何の前触れもなく発症するのが特徴で、解離が起こった範囲に応じて胸や背中に強い痛みが起こります。
大動脈が解離を起こすと、中膜に血液が流れ込んで血管の壁が非常に薄くなるため、破裂しやすい状態となります。
大動脈が解離することで、大動脈から枝分かれする血管の血行が途絶える場合があります。
脳・腸・腎臓などの臓器や心臓の筋肉への血行が途絶えると、心筋梗塞・脳梗塞・腎梗塞など命に関わることがあります。
大動脈解離の治療方法は、解離した血管と人工血管の入れ替えや、血圧を下げて痛みを和らげたりします。
体への負担を軽減するため、カテーテルを大動脈内に挿入して人工血管を広げて固定させる手術も増えています。
大動脈解離の危険因子としてもっとも知られているのは高血圧です。
そのため大動脈解離を予防するには、日頃から自身の血圧管理をしっかり行うことが大切です。
食事・運動・喫煙・ストレスなどの生活習慣に注意し、血圧が高い状態が続くときは適切な治療を受けるようにしましょう。