再生不良性貧血について!

再生不良性貧血とは、造血幹細胞と呼ばれる血液細胞の減少により、白血球・赤血球・血小板といった血液成分が減少する病気です。

造血幹細胞とは赤血球・好中球・血小板という血液細胞の元となり、通常は骨髄の中でこれらの血液細胞を補給し続けています。

白血球の減少による感染症・赤血球の減少による貧血症状・血小板の減少によるあざや出血など、さまざまな症状がみられます。

 

再生不良性貧血には先天性と後天性がありますが、ほとんどが後天性です。

後天性の場合は薬剤・薬物・放射線などが原因になることがありますが、大部分は原因不明(特発性再生不良性貧血)です。

そしてこの特発性再生不良性貧血の多くは、免疫細胞が自分自身の細胞を攻撃することで起こるのではないかと考えられています。

 

再生不良性貧血、年間100万人あたり8人程度が診断されています。

男女比は同程度で、いずれも1020歳代と7080歳代で多くみられます。

 

赤血球・好中球・血小板の減少によって、それぞれの血球減少に応じたさまざまな症状が起こります。

赤血球による酸素運搬が障害されるため、全身のさまざまな臓器で酸素が欠乏します。

脳の酸素欠乏によるめまい・頭痛・筋肉の酸素欠乏による倦怠感・心臓の酸素不足による胸の痛みが現れることがあります。

また酸素不足を解消するために、息切れや動悸などがみられることもあります。

 

好中球とは、白血球のうち細菌を殺す役割を持つ細胞です。

好中球が減ることで、発熱・肺炎・敗血症といった細菌感染症にかかりやすくなります。

 

血小板が少なくなることで、出血傾向がみられるようになります。

出血しやすくなると、青あざ・鼻出血・歯肉出血・眼底出血・脳出血・血尿・下血などみられることもあります。

 

再生不良性貧血の治療は、重症度に応じて免疫抑制療法・造血幹細胞移植・タンパク同化ステロイド療法・トロンボポエチン受容体作動薬・支持療法といった治療が行われます。

軽症で汎血球減少が進行していなければ治療をせずに様子を見ることもあります。

 

免疫抑制療法とは、造血幹細胞を攻撃しているリンパ球のはたらきを抑えて血液細胞をつくる機能を回復させる治療法です。

抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとシクロスポリンと呼ばれる治療薬があります。

 

造血幹細胞移植は、健康な人の造血幹細胞を点滴投与して、患者の造血力を再生する治療です。

一方で、移植は体への負担が大きいため、重症の場合やほかの治療法による効果がない場合に行われます。

通常、HLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれる白血球の型が合うドナーが家族内や骨髄バンクにいることが条件となります。

 

タンパク同化ステロイド療法は、赤血球を増やすはたらきや造血幹細胞の増殖を促す効果があるともいわれています。

 

トロンボポエチン受容体作動薬は、造血幹細胞に作用し、造血力を回復させる治療です。

 

支持療法は、病気の症状を改善する治療のことです。

貧血や血小板減少に対する輸血や、白血球を増やすホルモン(G-CSF)の使用、感染症に対する抗菌薬治療などがあります。

 

 

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