乳酸アシドーシスとは、乳酸の産生が代謝を上回ることで意識障害から昏睡などに至る疾患です。
この乳酸アシドーシスを起こしうる薬物として、血糖降下剤であるメトホルミンが知られています。
メトホルミンは肝臓における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖値を下げるため、その投与により乳酸が増加します。
通常はそれに応じて乳酸の代謝が増加しますが、この乳酸の産生と代謝のバランスが崩れると、乳酸アシドーシスが発現するおそれがあります。
乳酸アシドーシスは、胃腸症状(悪心・嘔吐・腹痛・下痢等)・倦怠感・筋肉痛などの初期症状から始まり、過呼吸・脱水・低血圧・低体温・昏睡などの症状が進行していきます。
つまり乳酸アシドーシスは致死率の高い疾患なのです。
メトホルミンは主に腎臓で排泄される薬剤のため、腎機能が低下していると乳酸アシドーシスを起こしやすくなります。
さらにCTやX線検査などで用いられるヨード造影剤についても、腎機能が低下することで乳酸アシドーシスが現れやすくなるといわれています。
そのため検査前はメトホルミン投与を一時的に中止し、ヨード造影剤投与後48 時間も投与を再開しないこととなっています。
また過度のアルコール摂取は、肝臓における乳酸の代謝が低下します。
それに脱水状態を来すことがあるので、避けるようにしましょう。