ポリファーマシーとは、複数を意味する「ポリ」と調剤を意味する「ファーマシー」を合わせ、多剤服用による有害事象を意味します。
さらに不要な処方・過量・重複投与など、あらゆる不適正処方も含みます。
一般的に、高齢になるほど複数の病気にかかりやすく、処方される薬剤も多くなる傾向にあります。
75歳以上では、約4人に1人が7種類以上の薬剤を処方されているというデータもあります。
高齢者は加齢に伴う代謝等の低下により、多くの薬を併用することで薬物の有害事象を生じさせる大きな原因となります。
とくに処方薬が6種類以上になると、薬物有害事象のリスクが高まることがわかっています。
たとえば高血圧薬により、便秘の副作用が起きることがあります。
そこで医者に相談すると、「じゃあ便秘薬を出しましょう」となります。
しかし医者の多くは一度出した薬を止めるのは怖いと思い、自分の処方薬が不調の原因になっていると認めたくない…
その結果、症状が改善されたとしても、同じ薬が処方され続けるのです。
こうして薬が増え続け、多くの人がポリファーマシーに陥っていきます。
胃薬のうちプロトンポンプ阻害薬(PPI)には、認知機能低下・便秘下痢・免疫力の低下といった副作用が報告されています。
またガスターなどのH2受容体拮抗薬には、とくに高齢者でせん妄・認知機能低下の恐れがあるとされています。
ポリファーマシーにならないためにも、使用薬剤・服薬状況・病気について、医師・薬剤師としっかり相談することが大切です。