クローン病について!

クローン病とは、小腸や大腸などの粘膜に慢性的な炎症を引き起こす病気のことです。

日本では難病の1つに指定されており、男性のほうが女性より倍程度発症しやすいことも特徴です。

 

10~20歳代で発症するケースが多く、主に小腸や大腸に炎症が現れます。

腹痛・血便・下痢・体重減少など、口の中から肛門までさまざまな部位に症状が現れる可能性があります。

またか所だけでなく、同時に複数の器官に炎症を伴う場合も少なくありません。

 

クローン病の原因は、現在のところはっきりとは解明されていません。

しかし白人など特定の人種や、同じ家系内で発症者が出やすいことなどから、何らかの遺伝的な要因が関与している可能性があります。

 

クローン病は動物性脂肪や、たんぱく質を多く摂取する人が発症しやすいことが分かっています。

さらに近年の研究では、腸内環境の状態も発症に関与していることが示唆されています。

 

クローン病は口から肛門まで全ての消化器官に炎症を引き起こす可能性があるため、症状は人によって大きく異なります。

 

しかしクローン病の多くは、小腸や大腸粘膜の一部に潰瘍が形成されたりすることで、腹痛・下痢・血便などの症状を引き起こします。

また小腸や大腸での栄養吸収能力も低下するため、体重減少・発熱・貧血・倦怠感といった全身症状が見られることもあります。

さらに重症な場合には、腸の壁に穴が開いたり、腸の壁が厚くなって腸が狭くなったり、膿の塊が形成されることもあります。

また、肛門部に痔瘻をしばしば伴います。

そのほか、関節炎・目の炎症・皮疹・口内炎などさまざまな症状を引き起こすことも知られています。

 

また、これらの症状は再発を繰り返すことが多いのも、クローン病の特徴のつです。

クローン病と診断された場合は、症状や重症度に合わせて次のような治療が行われます。

 

小腸や大腸に発症している場合は、絶食して点滴による栄養管理、腸への刺激が少ない栄養剤を経口摂取が行われることがあります。

炎症が落ち着いている場合は、バランスのよい食事を取るように心がけます。

一般的に腸への刺激を抑えるため、脂肪分や食物繊維の少ない食事を取るなどの栄養指導が行われます。

 

強い症状が現れているときは、炎症や過剰な免疫作用を抑えるため、薬物療法が行われます。

またクローン病は再発を繰り返すことが多いため、再発を予防するためにも継続した薬物療法が必要となります。

 

小腸や大腸の内部が狭くなる・腸の壁の穴が開く・膿の塊ができる場合は、それらを改善する手術が必要になります。

炎症が強い部分は、同時に切除することも少なくありません。

便通に支障をきたしており、手術をするのが難しい場合は、内視鏡を用いて狭窄した大腸部位を広げる治療を行うことがあります。

 

クローン病の明確な発症メカニズムは現在のところ解明されていません。

そのため、発症を予防する方法はないのが現状です。

一方で、クローン病は一度症状が改善しても、再発を繰り返しながら徐々に病状が悪化していくことが特徴です。

再発を予防するためには正しい治療・食事指導を続けていくことが大切です。

  • 調剤薬局 イルカ薬局/河内長野市・大阪市・狭山市