片頭痛とは、吐き気・嘔吐、光や音に敏感になるとともに、拍動するような強い痛みが頭の片側や両側に生じる頭痛です。
日本では1年間に約840万人が片頭痛に悩まされているというデータがあり、片頭痛に苦しむ人は決して少なくありません。
女性は男性の約4倍と多く、20歳代から40歳代の働き盛りに多く見られます。
片頭痛は何らかのきっかけで、脳の血管が急激に拡張することで引き起こされると考えられています。
たとえばストレスなどで放出された炎症物質が血管を拡張し、拍動する痛みをもたらす片頭痛を発症するといわれています。
また気候・気圧の変化、寝すぎ・寝不足といった生活リズムや、飲酒・月経などの女性ホルモンの関与も推定されています。
片頭痛は、脈に合わせて「ズキン・ズキン」と拍動するように痛むのが特徴です。
また頭痛とともに吐き気をきたし、ひどい時は嘔吐してしまうこともあります。
痛みは4~72時間ほど持続し、片側が痛むことが多いですが、両側が痛むこともあります。
また片頭痛が起こっているときは音や光に敏感になり、暗い静かなところでじっとしているほうが楽に感じます。
普段は気にならない程度のニオイや香りにも敏感になって、わずらわしく感じたりします。
階段の上り下りや歩行などといった日常生活の動作で頭痛が悪化するため、寝込んで動けなくなることもあります。
片頭痛持ちの約2割の人には、「前兆」という症状が見られます。
頭痛が始まる直前にキラキラ・ギザギザした光が目の前に小さく出現し、徐々に拡大してその先が見えにくくなります。
これが約20~30分持続して、前兆が消えると頭痛が始まります。
長くても60分を超えて前兆が続くことはありません。
このような視覚的な症状が多いですが、まれに片側の手足の脱力やしびれ、言語障害が見られることもあります。
頭痛発作の頻度は人により異なります。
月に1~2回程度の方もいれば、週に3~4回程度の方もいます。
鎮痛薬などを飲みすぎていると、頭痛が悪化して毎日のように頭痛に悩まされるようになることもあります。
また月に10日以上内服すると、薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)を引き起こしてしまう可能性もあります。
医療機関で処方される片頭痛薬は、トリプタン製剤です。
これは広がり過ぎた脳の血管を元の太さに戻し、三叉神経から炎症物質の放出を抑え込む役割を果たします。
トリプタン製剤に加えて、一般的や鎮痛薬や制吐剤を合わせることで、より効果的になることもあります。
予防治療として、カルシウム拮抗薬・ベータ遮断薬・抗てんかん薬・抗うつ薬などを予防薬として使用することもあります。
また飲酒を控えたり、寝すぎや寝不足を避けたりするなど、片頭痛を予防するうえで大切です。