はしかとは、麻疹ウイルスに感染することによって引き起こされる感染症をいいます。
一度麻疹ウイルスへの感染や予防接種により免疫ができるため、再び麻疹を発症することはないとされています。
感染すると、潜伏期を経て38℃前後の発熱が続き、倦怠感・喉の痛み・鼻水・咳・充血・目やになどが現れます。
その後39℃前後の高熱が現われ、額・耳の後ろ・首などに赤い発疹ができて2日ほどで全身に広がっていきます。
この時期には上述の風邪様症状はさらに悪化していきますが、3~4日間するとさまざまな症状も改善していくのが特徴です。
しかし重症化すると肺炎や脳炎など重篤な合併症を引き起こすこともあり、乳幼児などでは命を落とすケースもあります。
そのため、日本では「1歳児」と「小学校入学前1年間の幼児期」に1回ずつワクチン接種をすることが定期化されています。
麻疹ウイルスは、空気感染・飛沫感染・接触感染などさまざまな感染経路を持ち、非常に感染力が強いのが特徴です。
特に空気感染は一般的な手洗いやマスク着用では予防できず、感染者と同じ空間にいるだけで感染するリスクが生じます。
そのため、公共施設や学校などでの集団感染が起こるケースも珍しくありません。
通常は7~10日間で回復しますが、重症化すると肺炎・脳炎、別の細菌感染による中耳炎などを発症することもあります。
また、一般的に小児期にかかったときの症状よりも、成人になってかかったほうが、より症状が重くなるといわれています。
治療は解熱剤・鎮痛剤などの薬物療法、高熱などによる脱水に対する点滴治療など、対処療法が主体となります。
また肺炎や中耳炎を合併した場合は抗菌薬の投与が、重症化した場合は酸素投与などの呼吸管理が必要になるケースもあります。
重篤な合併症を引き起こすことがあり、さらに麻疹ウイルスは非常に感染力が強いため注意しなければならない感染症の1つです。
感染者がいる場合は同じ空間を共有しないように注意し、地域で流行している場合は人ごみに出歩かないなどの対策も必要です。
また空気感染を防ぐことはできませんが、手洗い・手指消毒・マスク着用などの基本的な感染対策も行うようにしましょう。